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( 2021/09/16 )


[2021/09/16] 癒しを求めて和歌山へ。日帰り旅行レポート

ある晴れた初秋の日、私は自宅のある京都府の南の端っこから
遠路はるばる電車に乗って、およそ3時間かけて和歌山市まで日帰りで旅行に行ってきた。

現在の京都や大阪にはない、大きな「癒し」を求めて和歌山へ・・・

ただし、今回はクルマには乗らず、歩き旅。
まあ、私はドライブが好きなんだけどね・・・。今回は違った。



JR和歌山駅に到着したのは、午前10時過ぎ。
まずは、駅から伸びる大通りをしばらく西へと歩き、和歌山城を訪れた。



同じ近畿地方の城でも、やや郊外の地にあるためか
大阪城や姫路城など、より知名度の高い(と思われる)城に比べれば
やや小ぢんまりとしていたが、それでも十分広かった。

この城を支える石垣は、まだ重機がない江戸時代に建造されたもので、
整形された石垣もあるけど、大部分は自然の石を大小隙間なく組み上げた
野面積み(のづらづみ)だった。



建立当時からだいぶ年月が経ち、石垣の上に自然の草がいっぱい生えていた。
とても味がある。



城の入口では、伏虎像がお出迎え。
目が妙にリアルで、思わず見入ってしまった。



この和歌山城は、城の周りがちょうど公園になっており、公園は入場無料。
思い思いに歩き、行き交う人々。
どうやら地元の人たちの散歩コースになっているようだった。

ある程度、丘のほうへと上っていくと、
晴れた青空の下、いよいよ和歌山城がその姿を現した。



そして、入場料410円を支払い、城の中へ。

城の中は博物館になっており、和歌山市の歴史を知ることができた。
しかし、展示されているものの多くは武具。



日本の城は、同時に敵の攻撃から身を守るための要塞でもある。
それは和歌山城とて例外ではなく、
戦争が絶えなかった当時の歴史に思いを馳せることができる。

城の上に飾られるシャチホコや鬼瓦も、
目の前で見てみると、かなり大きく、そして力強い。



この城は江戸時代、当時この地を支配していた紀州藩の家老
三浦家が治めていたという。
横に3本線が入ったような家紋は、三浦の「三」をあしらったもの。



階段を上りきると、やがて天守閣へ。
そこで目に飛び込んできたのは、青い海!

うむ、良い眺めじゃ!!



望遠で撮影したのでちょっと画質が滲んでしまって申し訳ないが・・・
確かに、城の上から海が見えた。

大海原の向こうには、大型のタンカーも見える。



戻り道では、かつて和歌山にゆかりのある偉人たちがパネルで紹介されていた。

南方熊楠は、明治時代、日本に西洋医学を普及させるに一役買った人。
下の写真の真ん中らへんには、なんと昔の森永ミルクキャラメルの画像が!



松下幸之助は、あの松下電器産業(現・パナソニック)の創設者として世界的に有名だが、
生まれは和歌山県である。



へぇー、あの松下さんがねぇ・・・

大阪の人だとばかり思ってたけど、じつは和歌山生まれだったんだね。


ほかにも、「やうしやぐぁん」(養生丸?)
字が達筆すぎてよく分からなかったけど、
現地の昔の薬と思われるものを売っていた店の木の看板が展示されていた。



この和歌山城だけで結構長い時間を過ごした。
こうしてゆっくり時間を使えるのは、歩き旅の大きな魅力。



昼過ぎ、次に向かったのは、和歌山市内にあるスーパー銭湯・ユーバス。



この施設はなかなか大きく、日帰り温泉だけではなく、
フィットネスクラブと思しき「ユーフィット」も併設されていた。

さっそく中へ入り、全浴場コースを利用してみた。

ここのユーバスは、入浴コースがいくつかあり、
浴場の一番手前の大浴場と、シャワー台(ただし、ボディソープやシャンプー、リンスはない)
だけが利用できるコースが、最もリーズナブル。
これは、おそらく地元の人が普通の銭湯感覚で入りたい時に利用するのだろう。

一方、全浴場コースにすると、
入口の大浴場の奥にあるドアを開けて、その先にある
いろんな種類の風呂を楽しむことができる。

洗い場にはシャンプーやボディソープなどはあるし、
水風呂、電気風呂、薬草風呂、天然温泉などなど。
露天風呂や、さらには塩サウナまであった。


ここで入浴中、私は地元のおじさんたちが
なかなか興味深い話をしているのを聞いた。

この旅行をした日は、まだまだ日本がコロナウィルスの対策に追われている真っ最中。
京都や大阪は緊急事態宣言が延長されたばかりだが、
ここ和歌山は何もなく、無事である。

そんな和歌山で、彼らは
「妻が「外風呂には絶対行くな」とうるさいものだから、
 こうして昼間にこっそりと入りに来てるんだよ」
とか、
「出かけるなって言うけど、何でもかんでもダメダメづくしじゃ何も始まらないわな」
とか。

イグザクトリー。まさにそのとおり。
私の気持ちを代弁してくれているようで嬉しかった!

ホントそれ。
コロナ脳はこれだから困る。いやー、おじさんたちマジで天使だわ。
まあ、私もおじさんなんだが。


ユーバス、気に入った!
今度もし時間があれば、より自宅に近い大阪の高井田店にでも行ってみよっかな!



昼食も買い物も済ませ、和歌の浦へ。



和歌山市街からはかなりの距離を歩いたが、どうやらその甲斐はあった。
見事な「A」の橋脚を持つ橋。



そこを渡ると、ついに西日の沈み始めた太平洋を水平線の彼方まで一望できた!
晴れた、きれいな青い海! これが見たかった!



大満足し、これまた来た道をすべて歩いて和歌山駅へと戻っていくことにした。

戻り道の途中で立ち寄ったのは、紀州東照宮という神社。



入口の参道が美しかったが、すぐに急勾配の長い階段が見えてきた。
さらに、拝観料を取るようなので、階段を上る前に引き返した。



それにしても、東照宮って
3猿で有名な栃木県の日光東照宮だけじゃなかったのね。

また、この神社ののぼりには葵の御紋があしらわれている。
なぜなら、紀州藩は三浦一族よりも権力のある者・・・



紀州徳川家のお膝元であり、江戸幕府の8代将軍・徳川吉宗が深く関わっていたから。



こうして、ちょうど空が薄暗くなってきた頃にJR和歌山駅に歩いて到着し、
そのまま帰路についたのだった。



いやー、素晴らしい!

京都府は緊急事態宣言が延長され、私は「いい加減にしろ!」と憤り、
せめて心だけでも一時的にその呪縛から解放されたいがために
宣言もマンボウもない平和な和歌山へと「癒し」を求めに、今回は旅をしたのだが・・・

どうやら正解だった。

郊外はおろか、オフィス街でもマスクをしない人が多く、
それだけ多くの素顔を見ることができた。
これだ! とにかく他人のありのままの顔が見たかった!

飢えていたんだわ、私。人の顔に。
こういうのこそが、私の定義する「ごく普通の日常の風景」よ!

和歌山の人々の笑顔。そして、太平洋の青い海。
現地のスーパー銭湯に、スーパーマーケット。
そして何より、晴天!

心から癒されたよ。
大きな幸せをありがとう、和歌山!!



よかった!!